鈴姫伝説
「グオオオォォオォッ!!」
静かな世界に響く太く暗い聞き覚えのある奇声。
魔物だ。
まだいたんだ。
まあすぐに終わる……そう思っていたそのときだった。
「キャア━━━━━━ッ……!!!!!!」
暗い世界に響くもうひとつの叫び声。
ハッと魔物の方を見ると……。
魔物の足元の岩影に小さな女の子がうずくまっていた。
なんでここに他の人が……?
いや……考えてる余裕なんてない!!
「イヤアアァァァアッ!!」
「ゆきなっ!!」
ゆきなに助けを求めるも……。
「ムリ!!ここからじゃとても届かないっ!!」
悔しそうにあの子を見つめながらゆきなは言う。
く……どうしたら……!!
辺りを見渡すと一番近くに人がいた。
あの女だ。
「お願い!!あの子を助けて!!早く!!!!」
また女の顔が一瞬変わった。
必死に叫んでも、女は聞く耳を持たない。