鈴姫伝説
もう、これはあたしが行くしか……っ!!
全速力で魔物の足元へと向かって走り出す。
耳元で風が唸ってうるさい。
髪もリボンも全てが後ろへたなびいている。
「くっ……!!」
どうか……届いて!!
届いて。
届いて。
「届けぇええぇっ!!」
声の限り叫んで魔物へと勢いのままに飛び込む。
──ギャリリリリ!!
靴と地面が擦れあう音がする。
膝を擦りむき、血が滲んでくるけど気にしていられない。
目一杯手を伸ばす。
あの子まで、あと数メートル……。
そのとき魔物は手を振り上げて……。
──バコン……ズシャ……。
鈍い音が響いた。
それは静かな辺りとあたしの脳内にこだました。