鈴姫伝説
目をあけるとそこは、知らない森の中だった。
頬に感じる空気がひんやりと冷たい。
なんか、どんよりしてるような……。
ここ、どこ?
落ちたんじゃ、ないの?
周りは、鬱蒼(うっそう)とした木々ばかり。
その木には何かの植物の蔦(つた)が絡まりついている。
足もとは、赤茶色の土で覆われている。
空も濃い緑の葉で覆われてしまって、一筋の光も溢れてこない。
なんか、怖い……。
あたしは、ぶるっと身震いをした。
「ミューマー……」
多分、ミューマに連れてこられたんだ。
あたしは、とりあえず、ミューマを探すことにした。
パキッと歩くたび、足元で小枝が折れる。
もう、ここどこなの?
「ミューマァー……」
あたしは、木々をかき分けて、とにかく進む。
すると、割りと開けた場所へとたどり着く。
「わぁ……」
そこは、わずかに太陽の光が注いでいて、とても幻想的。
あたしは、思わず綺麗なそこに見とれてしまった。
怖いと思ってたのに、なんかここだけ違う世界みたい。
綺麗……。
──パキッ……
何処かで木が割れた。
もしかして……。
「ミューマ?」
後ろのほうで音が鳴った気がして、あたしはそちらを見つめた。
「そこにいたの?もー、びっくりしたよ……」