鈴姫伝説



目をあけるとそこは、知らない森の中だった。

頬に感じる空気がひんやりと冷たい。

なんか、どんよりしてるような……。

ここ、どこ?

落ちたんじゃ、ないの?

周りは、鬱蒼(うっそう)とした木々ばかり。

その木には何かの植物の蔦(つた)が絡まりついている。

足もとは、赤茶色の土で覆われている。

空も濃い緑の葉で覆われてしまって、一筋の光も溢れてこない。

なんか、怖い……。

あたしは、ぶるっと身震いをした。



「ミューマー……」



多分、ミューマに連れてこられたんだ。

あたしは、とりあえず、ミューマを探すことにした。

パキッと歩くたび、足元で小枝が折れる。

もう、ここどこなの?



「ミューマァー……」



あたしは、木々をかき分けて、とにかく進む。

すると、割りと開けた場所へとたどり着く。



「わぁ……」



そこは、わずかに太陽の光が注いでいて、とても幻想的。

あたしは、思わず綺麗なそこに見とれてしまった。

怖いと思ってたのに、なんかここだけ違う世界みたい。

綺麗……。


──パキッ……

何処かで木が割れた。

もしかして……。



「ミューマ?」



後ろのほうで音が鳴った気がして、あたしはそちらを見つめた。



「そこにいたの?もー、びっくりしたよ……」


< 14 / 511 >

この作品をシェア

pagetop