鈴姫伝説



気づけば目の前にナディがいて、彼女の後ろの景色が見慣れたあたしの部屋に変わっていた。




ナディは険しい表情のまま、ポツリポツリと語る。




「私達が魔物になりかけたとき、この世にいた鈴たちが集まってきた。




強い霊力を宿した鈴たちの中でも一番霊力の強い、長(おさ)のような鈴が私の前に来ると、こう言った。




『ここは私達が代わる……。


そなたたちは鈴姫様の願いを必ず、叶えるのじゃ』





その言葉を聞き終わるか終わらないか……そのくらいの速さで私の身体から悪意が消え、長老たちは消えた。



彼らを瞬時に私達にかかっていた呪いが呑み込み、どこかへと飛んでいったんだ……」




あたしは息を呑んだ。


驚愕の真実。


もう動くことも喋ることもできない。



まばたきですら……。



頭は殴られたようにガンガンと痛む。




もう、もう立ち尽くす。



その言葉通りだ。







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