鈴姫伝説
「集めきれないよ……」
声がこぼれていた。
するとナディはケロッとして……。
「ああ、鈴の集める数は気にするな。
すずかに比べたらペースは遅いが、他の戦士たちが少しずつ集めている」
「え?あたし以外にも、魔物倒せるの?」
「ああ」
知らないよ!!
そんなの!!
まあ、大丈夫なの、かな?
集めきれるんだ……鈴。
よかった……。
ホッとため息をつくと、隣でゆきなが紺色の瞳を長いまつげの下に伏せた。
「強い人たちだったんだね……。
その人たち……。
自分と代わってまで、願いを守ろうとして……」
ゆきなの言っているのは、長老たちのことだろう。
ゆきなはずっと考えていたんだ……。
ゆきなも、“戦士”のひとりだから……。
「ああ……」
ナディはスッと瞳を閉じた。
「あのとき、確かに私達はあの長老の願いも託されたんだ。
たぶん、長老たちもずっと、ずっと待ちわびていたんだ、伝説の鈴を……。
それを私達に託し、私達の代わりに魔物に、なってしまった……。
私には、あの長老たちこそが強くて勇ましい『戦士』に思えたんだ」
優しくそれでも力強い声はあたしの心にズンと響いた。