鈴姫伝説



「出会ってすぐに私は言ったはずだ。



『どうしてそこまで人のために一生懸命になれる』と。



私には理解できなかった……。




でも、分かった。




すずかを見ていて……。




人は、“守りたいもの”があれば、強くなれるのだと」




「そんなの……あたしはただ、必死だっただけで……。



なにもしてない……。




あたしは臆病だよ……。



あのときだって、ナディに助けられてなきゃ……なにもできなかった……」






唇を強く噛み締めた。






あの女の子を守るには、あたしの力は足りなかった……。





悔しさが心を支配する。








「あれは、私の幻術だぞ?」



「へぇっ!?」




ナディのおかしな言葉にマヌケな声が出る。




幻術っ?




何のこと?




あたしの頭にはハテナが浮かぶ。






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