鈴姫伝説
……いくらなんでも速くない?
1回につき1人しか運べないって言ってたのに……。
一番最初にあたしを運ぶと言ってたのに、もうみんなはそこにいる。
ナディが行ったり来たりして、ちょっと時間がかかるのに……。
ナディを見ると、手を見つめ驚いた表情で立ち尽くしている。
「何をしたワケでもないのに……。 一気に全員連れてこれた……。
……どうなっているんだっ!!」
彼女はありえないと言う風に呟く。
何が起きたの!?
ゆきなは顎に手を当てて何かを考えている。
「もしかして、
お姉ちゃんのせい、かも……」
「はぁ?」
なんで?
あたしのせいって、あたし、何かしたかなぁ……。
ゆきなの言葉に頭を捻らせる。
けれど、いつまで経ってもワケが分からない。
ん~?
なんなんだ?
「だって、ナディーンは昔のお姉ちゃんだったんでしょ?
だから、本体の近くにいるから
“力”が強まったんじゃない?」
ゆきなは少し嬉しそうにしてあたしを見る。
そうかなぁ……。
信じられないや。
大したことやってないんだけど……。
半信半疑のあたしとは裏腹にナディは頷いた。
「そういうことか……」
まあ、納得したなら、いいや。
力が強まったなら強まったで、こっちも助かるしね。