鈴姫伝説



ナディとゆきなが息を切らせて飛んできた理由が分かった。



ゆきなの腕の中のミューマが苦しそうに顔を歪めている。



それはいままで見たことのないミューマの姿で……。



急いで霊力を込め、やすらぎの鈴を鳴らした。


ミューマの表情は途端に柔らかくなり、呼吸も整っていった。




「よかった……」




ため息が思わず大きくなってしまう。


何があったのか、ゆきなもナディも見ていなかったのだと言う。



ただ、あたしが倒した魔物の鈴を集めていたら、突然うなり始め、宙に浮かんでいたのにポトリと落ちてしまったらしい。



慌てて覗き込めば、青白い顔であたしに助けを求めて来たのだ。



「とにかくよかった。


顔色も呼吸も良くなったし……」




ゆきなも安心した様子でため息をついた。





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