鈴姫伝説
──三日後。
ミューマはベットの上で起き上がれるようになったものの、また完全ではなかった。
影の世界に行くことを決めたあたしたちは渋々ミューマを置いていくことに決めた。
本当は心配だから置いていきたくないけど……。
マントの人と出会ったらまた、同じことが繰り返されるかもしれない。
そのことが怖くて……。
ミューマにそれを言うと最初は自分もついていくとガンとして、聞こうとしなかった。
けれど、強引に認めさせた。
これ以上、傷ついてほしくないよ……。
お願い、だから……。
「必ず、鈴は取り返すから」
変身したあたしはミューマの手を握ってそのつぶらな瞳を見つめた。
不安げに揺らぐ黒い瞳。
「じゃあ待ってて……」
あたしたちはミューマにもう一度やすらぎの鈴を聴かせてから、夏の真っ青な空へと飛び去った。