鈴姫伝説
「わかったよ……」
ミューマに渡された鈴を強く握りしめる。
霊力って正直よく分からないけど。
魔物を封印するにはそれしかないんだ。
(お願い。この魔物を封印、して……)
あたしは、とにかく祈った。
なんだか、身体から“何か”が放出されていく。
……これが霊力……?
──パアッ
突然、暗かった森の中に黄金の光が射し込んだ。
それは、光の雨となり、あたしたちに降り注ぐ。
なんだろう……。
温かい……。
「グォ……、オオオオオッ!!!!」
魔物は、急に暴れ始める。
ごめんね。
でも、助けるにはそれしかないの……。
あたしは、さらに強く祈る。
光の雨の眩しさで目をあけることが出来なくなったとき、光は霧のようにサァッと空気に溶け込んでいった。
目をあけると、そこには同じように目を瞑ったミューマがいた。
「初バトル……終了……?」
「まぁ一応。でも、ひとつ足りないミュ」
「え?なんのこと……?」
そのとき、何かが視界の隅で光って……。
それは、あたしのもとへと落ちてくる。
「あ……」
「大事な物なんだミュ。
これをとりに来てるのに……。
忘れちゃ、ダメミュ!!」
「鈴……」
あたしの手の中には、初の勝利品である小さな鈴が握りしめられていた。