鈴姫伝説
「お前は誰だ……、名を名乗れ」
「…………」
「おい」
脅すような低い声。
オレンジ髪の女の人はこちらを向いた。
髪より薄く淡い色の瞳は意思の強いものが宿っている。
「……オレは…………」
……オレ?
あれ? 女の子に見えるんだけど。
ナディに押さえつけられたため、降参したのか、口を開く。
「オレはエクロディア……、女だ」
やっぱり女の子なんだね。
間違いじゃないよね?
一人アタフタしているあたしをよそにナディはエクロディアを睨み付ける。
「貴様は何者だ。
どうやってここに来た。
何のために鈴を奪う」
その声は氷のように冷たい。
ナディはあの長老たちを早く助けたいから、ひとつも鈴を誰にも取られてはいけないんだ。
それが胸の奥に落ちてくる。
「お、オレはただ、兄様を……兄様を助けたいんだ!!」
エクロディアは突然表情を必死なものへと変えた。
身をよじって彼女を捕らえている氷から逃れようとする。
「ムダだって。
その氷は出した私しか取れないよ!」
ゆきなは自慢げにまた新たに氷を生み出す。
「……兄様を助けたいってどういうこと?」
「すずか!!」
「…………話を聞くくらいいいでしょ?」
止めるナディに向かって微笑むとナディは苦い顔をして、口をつぐんだ。