鈴姫伝説





話に集中しようとして、エクロディアと向き合うと、彼女の瞳を見つめた。



日の終わりの頃の夕日のような落ち着く色……。


キレイ……。


彼女の美しさに思わず呑み込まれそうになってしまった。


いけない、いけない、話をしなきゃ。



「エクロディア……いいえ、エク。

どうして鈴を盗むの?」



理由があるなら教えて欲しい。


勝手に名前を略して呼んだせいか、エクは一旦真顔になった。


そしてまた眉と眉の間に深いシワを作る。



「オレには一人、歳の離れた兄がいるんだ。


オレがとてもお世話になっている、尊敬する人……」





話をしながら、エクの表情がふっと綻んだ。



もともとキレイな顔をしている。


その笑顔はとても、キレイだった。



女のあたしでも、これは惚れちゃうよ……。


男子なんか見たら、鼻血ブーだね。絶対。




キレイな顔に見とれていると、今度はナディが眉間にシワを寄せた。




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