鈴姫伝説
「よし!じゃあ今から兄様のところへいこう!!
早くその病気、治さなきゃ」
「「「え゛ぇっ!!」」」
あたし以外は大絶叫。
そんなに驚く?
おかしいかなぁ……。
「い、今からって、オレが家へお前たちを連れていくのか!?」
「すずか!!
まだ、こいつを信用出来たワケではないぞ!?
しかも治せるか分からないものを助けに行くのか!?」
「お姉ちゃん、さすがにそれは……」
あたしを否定しながら、慌てる3人。
でも……。
「それが何か?
助けたい人がいるんだからしょうがないじゃん」
あたしが強く言うと皆はハッとした表情になった。
これはあたしの本音だ。
助けたい人がいる。
助けようとしてる人がいる。
あたしは赤の他人だけど……あたしにも何か出来ることがあるかもしれない。
だったらもう、やるしかないでしょ?
ひとりでも明るい未来が増えるなら、笑顔で生きていけるなら、こんなに嬉しいことはない。
あたしは喜んでいくよ。
たとえ出会ったばかりの人だって。
人であることにはかわりはしないんだから。
「皆になんと言われようとあたしは行くから。
行こ、エク」
あたしはまだ戸惑っているエクの肩を掴んだ。
「まて」
ナディがあたしの手首を掴む。
「すずかが行くなら……私も行こう。 私の主はすずかだ。
すずかのいうことに従おう」
ナディの言葉に心が温かくなるのが分かった。
「すずかはそういうヤツだというのは私が一番分かっているのにな……。
行くと言ってもゆきなの氷の枷をとらないとどっちみち動けないぞ」
あ……。
エクの兄様のこと考えてて、すっかり忘れてたー!!
エクの足にはまだ青い枷が怪しく煌めいている。
「もう、お姉ちゃん。
大事なトコ抜けてるんだから……。
はい。
取れたよ! 私も勿論ついてく」
ゆきなはエクを解放させると立ち上がった。