鈴姫伝説
思い出
ここはどこだろう。
見渡しても、見渡しても、闇。
エクについてきてから一時間は経っただろうか……。
なにか黒い渦に巻き込まれていくみたい。
頭が……おかしくなる……。
気持ち悪い……。
「うっ」
途端に膝の力が抜けた。
身体がグラリとよろめいて……トンッと肩に何かが当たった。
「……あ」
「すずか」
それは心配そうな表情を浮かべたナディだった。
「大丈夫か?」
「う……ん、なんか気持ち悪い」
「あー……結界の中に入ったからな。
慣れていないとキツイだろう」
結界?
なに、それ。
答える余裕もないくらい、頭がグルグルとしてくる。
あー……ムリ……かも。
「大丈夫。
一回結界に入れば次からは慣れる」
えー、慣れたくないよ、こんなの。
ナディに肩を支えられて、あたしは力を身体に入れ直した。
来るって言ったの、あたしだし。
頑張らなきゃ……!