鈴姫伝説
「……うわぁ」
「キレイ……」
いつも間にか、隣に着ていたゆきなが立ち尽くして、声を溢した。
そう。
本当にキレイ。
辺りは全て、森。
風が吹くたび、さわさわと葉が擦れあう。
とてもこの空気が気持ちいい……。
“美味しい空気”とは、まさにこれだと思う。
あたしの家は田舎にあるけど、ここのほうがよっぽどキレイだ。
そんな大自然の中に、ポツンと一つ、歴史の教科書に出てくるような家が建っていた。
すぅっ……と肺いっぱいに空気を吸った。
清浄な空気が胸を満たす。
なんだか、懐かしいような、不思議なかんじ……。
おかしいね。
こんなとこ、来たことないのに。