鈴姫伝説
「すずか」
突然名前を呼ばれて、あたしは慌てて銀さんの方を向いた。
すずか。
初めて会った人で、初めて名前を呼ばれたのに、とても馴染んだ感じだ。
「すずか、君は“鈴姫”の生まれ変わりということは知っているね?」
えっ……。
「鈴姫について知っているんですかっ!?」
鈴姫というワードに思わず反応してしまう。
あたしは身を乗り出して、銀さんに近寄った。
「お姉ちゃんっ!!」
ゆきなの冷たい声が飛んで、あたしは渋々、座布団へと座り直す。
そんなあたしを見て上品に微笑む銀さん。
「変わらないね」
まるで、あたしを昔から知ってるみたいな言い方……。
「単刀直入に言おう。
僕は君の兄だ」