鈴姫伝説




銀さんは鈴姫の兄、だった。



そう、前世は、だ。



銀さんの前世は鈴姫の兄だったんだ。



鈴姫の兄は鈴姫ほどではないけれど、強い霊力の持ち主だった。



陰陽師、というやつだったらしい。


しかも、治癒力が強くて骨折などは一週間で治ってしまったらしい。



そのことを銀さんは最近思い出したのだという。



だから影の世界にきて、結界をはり、ここで過ごしているのだ。




しかし、そんな銀さんもある日ケガを負って、寝込んでしまった。





「そのケガって……?」



「エクと出会ったときに負ったケガだよ」





少し苦しげな笑顔で、胸が苦しくなった。





「エクはね、僕らと血は繋がっていない。



身寄りのないエクを、引き取ったんだ……」




「それ、エクは知っているんですか?」



声が震えた。



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