鈴姫伝説
「あぁ、言ってはいないが……気づいているだろう……」
そんな……。
エクは自分の本当の兄じゃないと知っていて……命を賭けて守ろうとしてたんだ……。
どんな思いで、いたんだろう。
それを考えると、胸が苦しくなる。
涙が溢れそうになって、慌てて堪えた。
「エクはある日、僕が庭に出ると倒れていたんだ。
そして、周りには魔物が蠢いていた」
銀さんの顔が少し曇った。
「僕はすずかのような強い力は持っていない。
魔物を倒すには僕には厳しかった……」
「それでも、魔物、倒したんですよね?」
ゆきなが声のトーンを少し上げた。