鈴姫伝説
過去
二人が部屋を出ていくと部屋の中は静寂に包まれる。
ドクドクと鼓動が大きくなるのがわかる。
知り合ったばかりで、しかもあたしの兄と部屋で二人きりなんてっ!!
心臓……持つかな……。
それより、話したいこと、ってなんだろう。
銀さんはあたしの方に向き直り、正座した。
「ああああのっ!
お身体悪いのに、休んでてください!!」
「僕は大丈夫。
それより、大事な話、なんだ」
銀さんの鋭い視線があたしの瞳を捕らえて、動かなくさせる。
「すずか。
これから話すのは鈴姫である君が知っておかなくてはならないこと。
どんなに苦しくても、知りたくなくても、知らなければならない……」
とても、真剣な眼。
もしかして、ナディが言ってた気をしっかり持てって、このことなのかな?
「はい」
あたしは意を決して、銀さんを強く見つめ返した。
とたんに銀さんの表情はふにゃりと柔らかくなる。
「よかった……」
銀さんはあたしの額にその白い手を当てた。
「長い長い話になるけど……」
銀さんがブツブツと何かを唱えると、あたしの頭のなかに、言葉と映像が流れてきた。