鈴姫伝説
『……あなたは……どなたですか?
……どうして、この邸に……』
この邸は滅多に人が来ることはない。
来るとしたらこの邸の女房か、お手伝いさんだ。
男の人はあたしを見つめると、微笑んだ。
『可愛らしい方ですね』
とてもキレイな顔。
笑った顔は光るように美しいのに……。
どうしてだろう。
その瞳は笑ってない。
ゾクリ……と背筋に冷たいものが走った。
『離して』
冷たく言っても男の人はあたしを掴んだまま。
怖い。
怖い。
怖い……。
『あたしを……どうする気?』
怖さで声が震えた。
すると、男の人は不気味にニヤッと笑って……。
『不老不死である、お前を売るんだよ』
な……にを……言ってるの?
頭が……ついていかない……。
あたしが……不老不死?
売るって……どういうこ……と……?
理解出来なくて、怖さも、疲れも、吹き飛んだ。
『千……!』
助けて……。