鈴姫伝説
動かなくなった男の人を二人がかりで縄でしばり、あたしたちは邸の下働きさんに押し付けてきた。
あの人、ヤダ。
もう、会いたくない。
千を傷つけたし、そもそも心に焼き付いてしまった恐怖のせいで、まともに会うことも出来ないだろう。
邸の下働きさんによると、あの男の人は結構昔から悪いことをやっていた、人売りだったらしい。
勝手に集落から人を拐って、売っていたんだ。
ホントに最低な人だ。
なんで、こんなことを考える人がいるのかな……。
あたしの心は暗闇が広がるばかりだった。