鈴姫伝説
不安になって、恐る恐る千の顔を覗きこんだ。
『!!』
びっくりした。
あの千が、金の瞳からキレイな涙を流している。
『や、やだ、どうしたの? 千。
あ、あたしは大丈夫だって。
ケガはないよ、千が守ってくれたから……』
袿を広げ、千の前でクルリと回って見せた。
あたしは、無事ですよー。
それでも、千はポロポロとクリスタルのようぬ涙を流している。
いつも、冷静な千しか知らないあたしは混乱状態に陥ってしまった。
どうしたの?
千がケガした!?
あの男の人に何かされたっ!??
『悔しい……』
『え?』
『鈴を……守れなくて……悔しいっ……!』
そんな……。
そんな事ないよ。
千はちゃんとあたしを守ってくれたじゃない。
助けてくれた。
『ありがとう……』
そんな風に思ってくれて。
あたしは、独りじゃない。
あたしは、幸せ者だ。