鈴姫伝説




あたしが、守らなきゃ……!



『ギィヤアァア!!!!』



奇声を挙げ、魔物はさらに手を振り上げた。




『こっちよ!』




あたしは千から魔物を離すべく、懸命に走り出した。



足が震え、何度もつまずいた。



『ハァ、ハァ……』



守らなきゃ……。



千はあたしが!!



何をしたらいいかなんて、分からない。




でも、でも……!




『ハァ……ッ!!ハァ……』




しばらく走り続けると、いつのまにか庭ではなく、開けた野原に出ていた。



ここなら……。


戦える。




──ズゥン……ズウゥン……。




魔物の足音が大きく聞こえる。



そのたびに、地面が揺れた。



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