鈴姫伝説
そう、出来る……落ち着いて……。
『はあぁああっ……!!』
あたしは霊力を込めて、金色に光る右手を魔物へと向けた。
(氷よ!!)
──パキッ!!
途端に冷風が吹き荒れて、周りの木々が凍りついた。
だが、肝心の魔物には避けられてしまう。
『あ゛あ゛!!』
そして、その長い爪はあたしの腕に深く傷を刻む。
痛い……。
右手の感覚がない。
ビリビリと痺れているようだ。
でも、負けてられない!!
あたしはその辺に転がっていたものに向かって、無我夢中で念じた。
(浮けっ!! そして、魔物へ!!)
いくつかは不安定で落ちてしまったが、大半は魔物へと突き刺さった。
『千は……あたしが守る!!』
──パアァア!!
突然あたしの胸のところについている鈴が光った。