鈴姫伝説





「や、めろ……」




「ナディ!!」




ボロボロの身体でナディは立ち上がろうとする。


やめて、ムチャしないで!


そう思うのに声が出ない。




「すずかに……手を出すなっ……!」




ふらつきながらも、その足で立った彼女は、恐ろしく冷たい目で敵を睨んだ。




「ダメッ!!」




──ブウンッ!!



叫んだあたしの声は、ナディの能力の音によって、掻き消される。


気づけばナディはマントの人の真横に立っていた。


振りかぶったその手には彼女が集めたのであろう石の刃がマントの人を狙っていた。


ビュッと岩の刃が空気を裂いた。


だが……。





「……っ!?」




マントの人から数センチ離れたところで、その岩も止まってしまう。


グググッとナディが力を入れれば入れるほど、マントの人の周りの不思議な力に押し戻されてしまう。








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