鈴姫伝説
すると、マントの人は無造作にその手に集まった光の球をナディへと向けた。
「やっ……」
──ブウン。
その瞬間、ナディはあたしの横へと空間移動する。
「今、すずかだけでも……空間移動を……」
あたしだけを助けようとしてる……。
しかしマントの人はわかっていたとでも言うように、光の球をあたしたちに向けて……。
──ドン。
光の球はマントの人の手を離れ、真っ直ぐにあたしたちを呑み込もうと飛んでくる。
「あ……」
恐怖で身体が動かない。
思わず目を閉じてしまった、その時だった。
──パァン……!!
何かが弾ける音がして、あたしは瞼を開いた。
目に飛び込んできたのは、光と緑。
四方八方から植物の太い蔦がのび、光の球にまとわりついている。
なに、これ。
蔦に巻き付かれた光の球はどんどん小さくなり、周りには霊力のもとと思われる霧が立ち込めていた。