鈴姫伝説
「くっ……!」
ギリリと一本の蔦が、マントの人を締め上げた。
すごい!!
誰なの?
ナディでさえ、苦戦する人に攻撃できるなんて……。
あたしは辺りを見渡す。
蔦が伸びている場所は……。
「エク……」
「……大丈夫か?」
エクがいた。
忘れていた。
『エクも霊力が使える』と銀さんに言われたばかりだったのに。
エクは、マントの人の攻撃からなんとか逃れたのであろう。
だから、チャンスを狙って、攻撃してくれたんだ。
「っ……このまま抑えているから……早く、攻撃をっ……!」
エクが押さえつけているものの、マントの人は抵抗している。
さすがのエクも限界のようだった。
「今行く!!」
「すずか!!」
ナディの静止も聞かず、あたしは駆け出す。
「すばやさの鈴!!」
叫ぶと手首についた青色の鈴が光って、あたしを包み込んだ。
すばやさの鈴とは、その名の通り、使えば動きが速くなる鈴のこと。
けれど、霊力と体力の消費が激しいため、使ったことは数回しかない。
景色が後ろへ流れていく。
数秒もしないうちに、あたしはマントの人へとたどりついていた。
「えいっ」