鈴姫伝説
体勢を低くし、足を掛ける。
しかし……。
「ぐっ、あ……」
逆に押さえ付けられてしまった。
なんで?
エクの蔦に捕まっているのに楽にあたしをねじ伏せた。
背にニブイ痛みを感じる。
あたしはすばやさの鈴を使ってる。
この人はエクに捕まってもいる。
なのに、なんで……。
この人は、本気を最初から出してはいなかったの?
唯一自由に動く首をなんとか反らし、あたしを押さえつけている人の顔を見上げた。
やはり、と思った。
このマントの人は、女。
そしてたぶん……
あたしが前世で会ったことのある人……。