鈴姫伝説
男の人が、ふらついたあたしを抱え込んで支えてくれた。
長い前髪が今にもあたしの顔にかかりそうだ。
うわあ!!
近い、近い、近い!!
「だ、大丈夫だから……離して……」
こんなときなのに、顔が熱くなるのがわかる。
だって、すごいキレイな顔してるもん、この人。
後ろの長い髪を縛っていて、背なんかあたしより頭二個分は大きい。
すると、彼は素直に離してくれた。
「今はわたくし達が誰かを言う前に、この方たちを倒さないと」
黄緑色のフワフワした短い髪をした女の子が言った。
釣られてガラナや千を見る。
「あっ……うそ……」
ガラナの肩からは、真っ赤な血が流れていた。
この人たちが、ガラナを攻撃したの?
そして、隣にいる千は……。
「え……」
切ない、苦しそうな表情をしていた。
ズキン……とあたしの心も締め付けられる。
「今日は、引き上げる」
二人は、空の彼方へと消えていった。
終わった……の?
カクン、と足の力が抜け、あたしはフニャリと地面に座り込んだ。