鈴姫伝説




短いボブの髪から二つ、腰まである長さの毛束が出ている。



その長い部分の髪も同時に揺れる。



オシャレな人……。




「わたくしは『やすらぎの鈴』です。



傷を回復する力を持っているんですわ」




あ、そっか。




「でもあたし、鈴を鳴らしてないよ?」




「ですから、わたくしは実体化しても力を使えるんです。



しかも、実体化しているほうが、力が強まるんですわ」




そんなこともあるんだ。



あたしはまだまだ知らないことが多いなあ……。




「それは、どうやるの?」




鈴じゃないとき……実体化してるなら、鈴鳴らせないしねぇ……。




「こうですわ」




アンゼリカはニッコリ微笑むと、辺りをキョロキョロと見渡して、ソファに寝ているミューマに目を止めた。



ミューマ……。



まだ、苦しそう……。



ミューマの顔は青白く、血の気がない。



彼女はミューマのもとへと行くと、ミューマの近くにしゃがみこんだ。



なにをするんだろう。



すると彼女はキレイな淡い緑色の瞳を閉じ、息を吸い込んだ。




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