鈴姫伝説





高くて空気を震わせるようなソプラノ。



優しくて、柔らかい歌声。



どこの国の言葉だろう。



あたしに意味なんて分からない。




でも、心の奥に響いてきて……。



あたしはまた、泣きそうになった。



歌が終わったとき、身体が軽くなったような感覚に襲われた。



どうしたの?



柔らかな温もりに包まれているみたい……。




「わたくしの能力はこれですわ。



傷を癒す……実体化して、その気になればどんな怪我も治せる」




でも……と彼女の赤い唇はゆっくり言葉を紡いだ。



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