鈴姫伝説




ジリジリと照りつける日射しが、どんどん体力を奪っていく。



吹き出した汗が、シャツと肌をくっ付けた。



どうしよう……。



ナディたちに知らせようか。




でも、ナディたちも、ゆきなも、それぞれの大事なことをやっているんだ。



我が儘なんて、言えないよ……。




「はぁ……ッ!!」




あたし一人でも、探さなきゃっ……!!



暑さと不安で脚が縺れた。



クラクラ……する。



―ドン。




「すみませ……」




そのせいで前にいた人とぶつかってしまった。



謝って、顔を上げると……思わず息を呑んでしまった。



喉が押さえつけられているような感覚に襲われた。





「なん……でいるの……」





「……お、まえは」




そこまで言って、その人は倒れてしまった。





「ちょ、っと!!」




慌てて腕を伸ばし、その人の身体を抱き止める。



でも思っていたよりも重くて……。



情けないことに、支えたあたしもフラついてしまった。



突然肩に腕を回され、ギュッと抱き締められる。




身体が熱い。



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