鈴姫伝説
「……ほら、歩ける?」
「…………」
「……ちゃんと掴まって」
彼をあたしの部屋のベットへと寝かせる。
身体が熱く、熱を持っているようだ。
とにかく、冷やしたほうがいいよね。
他の皆がいなくてよかったかも。
皆なら、千を見るなり攻撃しかねないから。
「ちょっと待ってて。
氷水持ってく、る!?」
歩き出したとき、身体がカクンと止まった。
右手首を見れば、大きな彼の手が、あたしの手首を掴んでいる。
「いくな……」
途端にそこから熱を帯びていく。
そんな、なんで……?
『いくな』って、どういうこと……?
確かにあたしは、あなたを助けたい。
もとのあなたに戻って欲しい。
千は熱で頭がボーッとしているのか、目がトロンとしている。
たぶん勘違いしてる。
あたしのことじゃない。
ズキン……と心が痛んだ。