鈴姫伝説

身体が硬くなるのが分かる。



「すずか!!避けるミュ!!」



ミューマの声が聞こえた瞬間、紅い瞳が視界を埋め尽くす。





──ドゴォッ!!



「ぐ、はっ……!!」



横からの凄まじい打撃。

それが身体へとめり込む。

意識が、飛ぶ……!!

あっという間にあたしの身体は最初にいた森へと吹き飛ぶ。

頭が真っ白に、何も考えられなくなっていく。



「すずか!!」



ミューマの叫び声が、もやの掛かった意識のなかで響いた。



ダメ……だ。

ここで、負けちゃ。


「っ、く」



自由に動かなかった身体に、自分に言い聞かせる。

ただ、勘を頼りに手を伸ばす。

運よく枝が手の内に収まった。





「うあ」



渾身の力を振り絞り、身体を引き留める。



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