鈴姫伝説
たまに見せる寂しげな表情。
強くて、美しい光を放つ、金の瞳。
そして、その優しくて柔らかい大好きな声……。
その全てが愛しくて、また涙が溢れた。
前世とか、関係なくて。
ただ、ただ……気づいたら、もう戻れなくなっていたの。
なんでだろうね。
あたしたちは、敵同士なのに。
ダメだって、叶わない恋だって分かってるのに……。
好き、なの。
「あたしのこと……どう思ってるの……?」
聞きたくても、聞けなくて。
分からないよ。
あなたの気持ち……。
また静かになってしまった部屋が、妙に寂しく感じた。
彼がベットに残していった、温もりをそっと撫でた。
もう、体温は感じることは出来ない。
「…………千……」
あたしは一人、彼を想って、泣いた。