鈴姫伝説
転びそうになったところを抱き抱えてもらったらしい。
きっと、いつもなら慌てているけれど、そんなことを考えている余裕もない。
ロイルは、あたしを抱き上げると、ベットに寝かしてくれた。
「どうしたんだ……?」
優しい声にまた、涙が滲む。
やだ。
もう泣きたくないのに。
ポンポンと、ロイルはあたしの頭の上に大きなその手を置いた。
「落ち着け。
ゆっくりでいいから……」
「あ、の……あのね」
「うん」
「ミューマが、いなくなっちゃって……」
あたしは、包み隠さず、話した。