鈴姫伝説
千が家に来たこと以外を。
やっぱり、それだけは言えないから。
口に出したら、いろいろが壊れてしまいそうだから……。
「そうか……やはり……」
それだけ言うと、彼は黙り込んでしまった。
慌てる様子もない。
本当、落ち着いている。
冷静沈着だなぁ……。
こういう人は、憧れちゃう。
「すずか」
「何?」
あたしは少しだけ、布団から顔を出して言った。
「ナディやアンゼリカが帰ってくるまで、休んでおけ。
大事な話をするだろう」
大事な話って、何だろう。
そんなことを考えていると、疲れが溜まっていたせいか、フッと意識が途切れた。