鈴姫伝説





「さて、と……まずは何について話そうか……」





どうしようか、とナディは腕を組んだ。




「フフッ、まずは、ミューマについて……でしょう?」




アンゼリカがニッコリと満開の笑顔で言った。



そんな笑顔で言うもんかな……。



彼女とは真逆にあたしの気分は暗い。




「そうか、そうだな」




アンゼリカの考えにナディは頷いた。




「ミューマは……いなくなったんじゃない。



確かに自分からこの場を立ち去ったが、操られていたんだ」




操られていた……?



誰かに……ミューマが?



そんなことが、あるの?





「私達は、あのガラナ、というものについて調べにカレンデュラに戻っていた。




そこで知ったのは……」




そこまで言って、ナディは続きを紡ぐのをやめた。




「すずか、心を堅く、強くしろ。



これから話すのは、全て真実、なんだ」





「…………」




それは……あたしが乗り越えなきゃいけない壁……。





「うん……大丈夫、話して……」





あたしも知りたい。



ううん。



知らなきゃ。



あたしはナディの赤紫色の瞳を見つめ返した。





「やはり、すずかは鈴姫だな」





「え!? どういうこと!?」





「なんでもない」




クスリ……と笑って言ったナディの表情は、先程より柔らかくなっていて……あたしはちょっぴり安心した。









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