鈴姫伝説





それはあまりに突然で。




あまりに一瞬で。














いくら探しても、どれだけ探しても、二人は見つかることはなかった。




わずかな情報さえも……。






『うぅ……っ……ぁ!!ひっ……』





『泣くな、泣くなよ!鈴』




肩を震わせて泣くあたしを千は優しく抱き寄せた。




でも、その手も細かく震えてる……。




『きっと無事だ……』




『そっ……なこと……』




しゃくりあげてしまって、うまく言葉が、出てこない。




だって、だって……!




『だって、艶はともかく……お母様は……お母様は一人で外へ行けるようなお体じゃなかった……なのになんで……』




『それは……』




あたしを抱く千の腕に力がこもった。



苦しい。



苦しい。



苦しい。






どうして。




どうして。




どうして……!





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