鈴姫伝説
ガサガサとロイルは森の中に入っていく。
「グオオオオオオッ!!!!」
「いた!」
なにかが叫ぶのと、ナディが顔を上げるのが同時だった。
「魔物が出たんだ!」
慌ててあたしたちは、森の中に駆け込む。
「きゃあ!」
足に蔦が巻き付いてきて、あたしは部様にも、転んだ。
「すずか!」
「お姉ちゃん!!」
―パキィン。
一瞬で蔦が凍りつき、足もとに散らばった。
顔を上げると、ロイルが剣を片手に戦っていた。
風のような速さで、瞬く間に蔦を斬り裂いていく。
切られた蔦は、無惨に積み重なった。