鈴姫伝説
どういうこと?
あたしの頭の中は、ハテナが飛び交う。
『言い方が悪かったわ。
千の中に、もう一人いるのよ。
身体はひとつなのに、二つの人格があるの。
千は、変わったんじゃない。
変わっているときは、もう一人の人が人格として前に出てきているの』
つまり、千は変わってなんかいなかったんだ。
千は、昔の優しいままだったんだね。
どうして、もう一人の人が千の身体にいるのかは分からない。
『ねぇ、すずか』
鈴姫の声に、思わず、ハッとなって彼女を見た。
彼女は今まで見たことのないくらい、真剣な顔をしている。
その顔は、切なそうで、儚くて、引き込まれてしまいそう……。