鈴姫伝説
「こほっ……!」
案の定、煙の量が多くて吸い込んでしまった。
ミューマが現れたときのように。
魔物も驚いたのか、あたしを掴んだまま、もうもうと立ち上がり続ける煙を睨みつける。
「ちょっと、いきなり何よ!」
「えっ……?」
そこから、自分以外の声がした。
しかも、それはとっても聞きなれた声……。
なんで、いるの……?
煙が晴れるとそこに現れたのは……。
「ゆきな……?!」
「お姉ちゃん!?」
あたしをお姉ちゃんと呼んだ人物。
そう。二歳年下の妹、ゆきなだ。
同じ学校に通ってる一年生。
あたしと違って、髪は短く肩位くらいしかない。
しかも、髪はなぜか少し紺色っぽい。
瞳の色もそれにならって紺色なのだ。
「なんでここにいるのっ!!」
「し、知らない……っ。家に居たのに、気づいたらここに……」
ブンブンと頭を激しく横に振るゆきな。
宙釣り状態のまま、あたしは叫ぶ。
「ミューマ!!どういうことっ!?」
見渡しても、天使の姿は見えない。
さっきの拍子にどこかに飛ばされたのかも……。
とにかく今、あたしに出来ることは……。
「ゆきなっ!!それ、取って!!早く!!!!」
「ブレスレット……?」
「そう!!こっちに投げて!!」
魔物を見てしまったゆきなは固まってしまっている。
あたしの必死な叫びが届いたのか、ハッとした表情になるとおそるおそるブレスレットを投げてよこした。
──パシッ
投げられたそれは手の中に見事に収まる。