鈴姫伝説
「フフッ」
やっと彼女は口を開いた。
まるで、あたしが変身するのを待っていたかのように。
慌てて女神を見る。
女神は笑っていた。
でも、その笑顔はさっきまでの上品な笑いかたじゃない。
「ッッ……!」
それは明らかにあたしを嘲笑った、勝ち誇ったような笑み……。
「なにをしたのっ!?」
-バチッ!
あたしは目一杯膜にくっついて、女神を睨んだ。
そのとき、膜との間に電気がバチバチと音をたてて、あたしの身体を痺れさせた。
でも、そんなの痛くも痒くもない。
なんで変身できないの?
「フフ……霊力を使えないように特殊な結界が張ってあるの。
この膜は、その結界よ。
結界は一枚だけじゃ、ないわ」
結界?
それじゃ、いくら鈴があったとしても霊力が使えないんじゃ、変身できない。
ギリッ爪が手に食い込むくらい、拳を強く握りしめた。
「……まぁ、まぁ。
なんて顔……」
するりと白いスベスベな指が結界の中になんの抵抗もなく、入ってきてあたしの顎を捕らえた。
そして、ニヤリと笑った。