鈴姫伝説
「その顔が憎たらしい。
ああ、今すぐその顔をぐちゃぐちゃにしてやりたいわ……」
ゾクッ……と背筋が凍った。
この人……本気だ。
スッと指が抜かれ、あたしは再び女神を睨んだ。
「まぁ、あと少しの辛抱ね」
「……どういうこと?」
「あなたに言う必要はない」
ピシャリと言い放った女神は、廊下の奥へと消えた。
辛抱って……どういうこと?
何かあるってことだよね。
たぶん、女神は何かを企んでる。
あたしを捕らえているのもそのためだ。
すごく悪いことを、大事件になることをしようとしてる。
早く止めなきゃ。
そしてあたしも逃げなきゃ……!
でも、ここからどうやって出よう。
膜を何度か叩いたりしてみたけど、あたしが体力を削られるだけだった。
霊力が使えないから、できることがない。
こんなとき、皆がいてくれたら……。
突然、心細くなった。
こんなに皆と離れているのが、ツライなんて……。
涙が出そうになって、慌ててこらえた。