鈴姫伝説
「お……れは……」
彼の手を、あたしは優しく包み込んだ。
細かくその手は震えていて……あたしは強く握りしめていた。
なんでだろう。
こんなときなのに、胸がときめいてしまう。
じんわりと温かくて、甘い体温。
ああ。
なんだか、とても……なつかしい。
あなたに抱きついてしまいたい。
ギュッ、と千もあたしの手を握り返してくれて……。
「あ……」
彼の大きな手が、あたしの顔を優しく包み込んだ。
そして、彼の瞳の閉じられたキレイな顔が徐々に近づいてきて……。
あたしはゆっくり目をつぶった。
千の熱い吐息が唇にかかって、身体中が熱い。
ドキドキして、心臓が破裂しそう。
再び、千の息が唇にかかって、身体が震えた。
「そこまでよ!」