鈴姫伝説
そのとき、突然ドアが破壊された。
ものすごい爆音と、爆風があたしたちを襲う。
なに?
千はあたしから手を離して、あたしの前にあたしを守るように立ちはだかった。
「なにをしてたのかしら?
千、鈴姫……」
「女神……!」
そこにいるのは、もうあの頃の優しい雰囲気のカケラもない大勢の天使を従えた、女神だった。
すごい強力で、邪悪な霊力を……感じる。
怖い……。
「どうやって、あの結界から出られたのかしら?
お仲間の力……?」
クスリと微笑を浮かべる。
それはただ、あたしを嘲笑っているようにしか見えない。
何を考えているの?
とにかく、負けちゃダメだ。
「千。
いつまでそこにいるの?
あなたは、そちらがわではないでしょう?」
え……?
そちらがわって……?
どういうこと?
「はい」
千はおもむろに小さな声で答えた。
「…………!」
そしてフラリと女神の方へと寄っていく。
イヤ……、ダメッ!
その瞬間、千の右目にエメラルドグリーンの炎が灯った。