鈴姫伝説
「千を返して」
震えそうな声を必死に隠して、強く言い放つ。
「……返す?
どういうことよ」
なぜか手下たちは飛んではこず、下の方であたしを睨み付けるようにして、大きな剣を抜きかけている。
女神は皮肉そうに笑った。
「千はものではないわ」
「確かにそうだけど……あなたのものではないはずよ」
静かな部屋に、女神の淡々とした声は壁に反響するように、響いている。
「あなたのものではない。
あなたが自分のものだと思っていても、千は違うわ……」
「……そうかしら」
「……えっ?」
千がそう、言ったの?
違うっていって。
お願い……だから。
「…………」
なにも言わない。
千……?
「フフッ、言わないだけよ。
千はわたくしのもの……」
「なんでよ!」
信じられなくて、思わず叫んでしまった。
「それは……
お前の母親のせいだ!!」