鈴姫伝説
地面に降り立つと、魔物の眼の色が変わった。
あたしを眼力だけで倒しそうなくらい、紅い眼は燃えている。
負けるもんか……っ。
身体を奮い起たせ、魔物へ向かって駆け出した。
耳元で風が唸る。
「っ、くぅ……」
しかし、怒りに思考を支配された魔物の動きは凄まじく速い。
長い腕の雨のような攻撃は止むことはなくて……。
何度かその鋭い鞭は身体を掠めた。
自由に動いていた身体も、じょじょに動かなくなっていく。
くっ……。
このままじゃ、ヤバい……!
そういえば、ゆきなは?
さっき、あたしの近くの木の下にいたはず……。
何度か振り返ってみたけど、そこに彼女の姿はない。
さぁっ……と血の気が引いていく。
ゆきな……っ!
ゆきなは、どこ?
無事、なの……?