鈴姫伝説
艶が謝ることなんて、ない!
「でも……あなたのおかげで……記憶を、取り戻せたの……嬉しかった。
昔の私を覚えていてくれたって、言ってくれたでしょう?
そのとき、全てを……思い出したの……」
艶は涙を浮かべて、笑った。
あたしは、その艶を儚くも、とてもキレイだと思った。
「すずか……」
艶の声は、もう小さく、かすれてしまって、ほとんど聞こえない。
あたしは艶の口もとに耳を近づけた。
「あなたなら、ぜっ……たい、できる。
あなたなら、みんなを幸せにできる……。
忘れないで……私は……」
「ッッ!」
あたしは再び、艶の顔を見る。
彼女は少し口角を上げて、笑った。
そしてわずかに唇を動かす。
更に涙があふれて、視界がぼやけた。
うん、あたしもだよ……艶……。
そのとき、腕の中で、艶の力が抜けた。
「つや……?
艶! イヤッ! そんな、艶あぁあ!!」
なんで、なんで、なんでぇっっ!!
周りなんて気にせず、あたしは艶を抱き締め、泣き叫んだ。