鈴姫伝説
「千……」
大丈夫なの?
顔色をもう一度、見ようとして、覗き込むと、ギュッと抱き締められた。
「え?」
あたしと女神が同時に固まり、呟く。
恐る恐る見上げると、そこには愛しい彼の顔があった。
「千……?」
「……すずか」
彼があたしの名前を呼ぶ。
なんだか、懐かしい、その声。
「な、なにをしている。
早く戻ってこい!」
女神の眉はピクピク痙攣している。
うわっ。
そうとう怒ってるよ。
すると、千は、あたしを離してあたしを守るように立ちふさがった。